忽ち人は注目して

 忽ち人は注目して、自然にお綾を取囲むので、さなきだに備前の夕凪《ゆうなぎ》。その暑苦しさにお綾は恐れをなして、急いで吾家へ逃げ込もうとした。` するとその頃、網《あみ》ノ浜《はま》から出て来て、市中をさまよい歩く白痴の乞食《こじき》、名代のダラダラ大坊《だいぼう》というのが前に立ちふさがっ...

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他聞は憚る一大事じゃ

「他聞は憚る一大事じゃが、しかし女房は一心同体。おぬしにだけなら話しても好かろう。これ、びっくりしてはならぬぞ。隠居所の御客人はアレこそ当国の太守、少将様の御落胤、奥方様御付きの御腰元|鶴江《つるえ》というのに御手が付いて、どうやら妊娠と心づき、目立たぬ間にと御暇《おいとま》を賜わった。そこで鶴江殿...

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当国|長船《おさふね》の住人初代|長光《ながみつ》の作

「遠慮とあればそのままで好いが、中身は当国|長船《おさふね》の住人初代|長光《ながみつ》の作じゃ」`「へえ――」`「これを御所蔵のこの御方は、仮に小笠原《おがさわら》の苗字を名乗らせ給えど、実は新太郎少将光政公の御胤《おんたね》、金三郎《きんざぶろう》様と申上げるのじゃ。改めてその方...

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