母親が隠れて頑張っている

 逃げ出そうとすれば庭木戸の傍に母親が隠れて頑張っている筈。それを突破して逃げる程のそれだけの勇気も出せぬので、お綾は縁側に手を支《つ》いたまま、モジモジして控えるのであった。「まァ、何をその様に遠慮しているのじゃ。拙者は近く御当家に御召抱えと相成る身。さすれば早速又家内を迎えねば相成らぬで、それ...

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一方には旅医者奥野俊良

       四

 一方には旅医者奥野俊良。家老職池田|出羽《でわ》に面会して、内密に落胤の事を談じ、表面は浪人御召抱えの嘆願という手筈を定めていたが、生憎《あいにく》その池田出羽が、天城屋敷《あまぎやしき》に潮湯治《しおとうじ》の為出向いているので、今日か翌日《あす》かと日和を見ていた。 こち...

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忽ち人は注目して

 忽ち人は注目して、自然にお綾を取囲むので、さなきだに備前の夕凪《ゆうなぎ》。その暑苦しさにお綾は恐れをなして、急いで吾家へ逃げ込もうとした。 するとその頃、網《あみ》ノ浜《はま》から出て来て、市中をさまよい歩く白痴の乞食《こじき》、名代のダラダラ大坊《だいぼう》というのが前に立ちふさがった。「...

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