あわてるような声

「お葉さん……ありゃ泣いたためばかりの熱じゃない。早く来てごらん」 倉地のあわてるような声が聞こえた。 それを聞くと葉子は始めて事の真相がわかったように、夢から目ざめたように、急に頭がはっきり[#「はっきり」に傍点]して六畳の間《ま》に走り込んだ。貞世はひときわ背たけが縮まったように小さく丸まっ...

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世界が急に暗くなった

といった葉子の声は低いながら帛《きぬ》を裂くように疳癖《かんぺき》らしい調子になっていた。別室に妹の駆け込んだのを見向きもしない愛子の不人情さを憤る怒りと、命ぜられた事を中途|半端《はんぱ》でやめてしまった貞世を憤る怒りとで葉子は自制ができないほどふるえていた。愛子は静かにそこに両手を腰からおろして...

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打ち沈んだ顔をして泣いたあとのように

それじゃきっと木村に書いてやってください。僕《ぼく》自身は何も物数寄《ものずき》らしくその内容を知りたいとは思ってるわけじゃないんですから……」 古藤がまだ何かいおうとしている時に愛子が整頓風呂敷《せいとんぶろしき》の出来上がったのを持って、二階から降りて来た。古藤は愛子からそれを受け取ると思い出...

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